"北海道ふたり旅"

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北海道ふたり旅

神威岬の蒼







今回の旅の絶景は神威岬の突端から見るシャコタンブルーの海だった。
この景色を見るためには自らの足で歩かなければならないのだ。
駐車場から歩くこと20分で距離にして800メートルほどである。
まず、なだらかな斜面を登って遊歩道の入り口に着く。
そこには鳥居があって、かっては女人禁制であったと記してあった。

カムイとはアイヌ語で神を意味し、漢字の神威を当てている。
女人禁制は義経伝説が絡んでいるのだそうだ。
義経が奥州平泉から落ち延びてきて蝦夷の地にいたり、アイヌの首長のもとに身を寄せる。
やがて、首長の娘チャレンカが義経を慕うようになるが義経は更に北へと旅立っていく。
チャレンカは後を追って神威岬までたどり着くが、義経一行はすでに出帆していてチャレンカの想いは届かない。悲嘆にくれたチャレンカは『和人の船、婦女を乗せてここをすぐれば覆沈せん』という恨み言葉を残して海に身を投げてその姿が岩と化す。
以来、女性を乗せた船がこの沖を過ぎると必ず転覆したため神威岬は女人禁制。
岬の突端の眼の下には確かに海中に人の姿とも見える岩が起立していて神威岩と言う。

鳥居をくぐり遊歩道を歩くアップダウンがあって、ふだん鍛えていない身には結構きついものがあった。
遊歩道は伝説にちなんで『チャレンカの小道』と名付けられていた。
場所によっては一人しか通れないような幅のところもあった。
目の下に海が覗けるような鉄製の橋もある。
丁度中ほどの展望スペースに来たところで一休みした。
「岬の突端に行けば地球が丸いことを実感できるそうよ。」
と、タカコサンが励ましてくれたが、正直なところ鳥居まで戻りたかった。
「写真撮りましょうか。」
若い二人連れのお姉さんが声をかけてくれた。
「そんなに仲が良い夫婦ではないので、2人で写るなどめったにないから記念にお願いします。」
と言うと、
「私達もそんなに仲良しではないけれど,2人を撮ってください」
と笑いながら言ってカメラを渡してきた。

岬の突端、20分頑張って歩いただけのことはあった。
海が300度ほど広がって見える。
確かに水平線が丸みを帯びている。
海の蒼さが特別である。
シャコタンブルーなどと言ってもそれは語感だけのことだ。
敢えて色名帳であわせれば瑠璃色、宝玉の色だ。
息を呑むような美しさだ。
空はコバルトブルーのグラデーション。

大きく深呼吸を一つした。



yodaさんの投稿 - 18:48:45 - カテゴリー: 依田先生の徒然日記
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