"モノ語り"

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モノ語り

食卓塩のフタ2







「あなたのちゃんとはあてにならないのよ。」
いよいよ怒りのスイッチも入ってしまったようだ。
食卓塩のビンのフタの問題ではないのだ。
「いつになったら工房の片付けはするのかな・・・」
一番触れてもらいたくないところを突いてきた。
「工房として作ったのにあれじゃあ物置よ。使わないのなら私にちょうだい。お弟子さんも増えたことだし、お茶室に改造してもらうから。」
工房というのは、我が家の一番良い位置を占めている陶芸の部屋だ。コンクリートの打ちっぱなしでドロに汚れても良いようになっている。轆轤も電気窯も作業台もあって本格的に焼き物が出来るようになっているのだ。
職を辞した時点で本格的に取り組むはずであった。
出来れば、陶芸教室のようなことをやって他人とつながっていく手立てにしようと思った。
しかし、生来の怠け癖と片付け下手のやりっぱなしで、道具も轆轤も泥まみれである。
陶芸は次にやることを考えてキチンと片付けをしておかないとイザ始めようと思っても意欲が湧かなくなってくる。
加えて子どもの本と大人の本とが毎月のようにたまっていき、工房というよりも書庫と化してしまっているのだ。

昨年の11月から12月にかけて作品展をやった。
それ以来、一度も作品を作っていないのだ。
毎日のように片付けなければ・・・と思っているのだが、片付けるには収納する場所を確保しなければならないのでネックになっている。
しかし、それは言い訳かもしれない。
たまっている本はダンボールにつめる手もある。
古い本は処分して新しい本だけを入れる手もあるはずだ。
『今日できることは明日に延ばす』ことを信条にしているが、ともかくこれは限度を越えている。
今までは片付けのための人を頼んでしのいできたのだが、このところ当てにしている人たちが都合がつかない。
食卓塩のフタから工房問題に移されてしまうと全く反撃の糸口もつかめない。
いっそのこと、全て明け渡してしまおうかと思ってしまう。
「確かに、やりっぱなしで片付けられないこの40年間だよ。デモさ、最初からそれは分かっていたはずじゃないか。俺の下宿の散らかりようは見ていたはずだよ。それでも俺と結婚しようと思ったのは何故なの。俺ならあんな部屋を見たらごめんだぜ。」
開き直りである。
サテどう出てくるか。


yodaさんの投稿 - 18:04:22 - カテゴリー: 依田先生の徒然日記
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