"遠近両用図書室・空気のなくなる日"

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遠近両用図書室・空気のなくなる日

ハレー彗星








今から100年前の1910年5月19日はハレー彗星が地球に大接近した日。
このとき世界中にいろいろな風評が流れ、彗星の接近により地球上の空気が五分間だけなくなってしまうと言われたそうだ。
日本でも大騒ぎになって、この五分間を乗り切るために対策が取られたという話がある。
『空気のなくなる日』(岩倉政治・著)、児童向けの物語で1947年(昭和22年)の作品である。
岩倉はプロレタリア系の作家でこの作品も思想的な色合いが濃い。
物語は当日を乗り切るための工夫が描かれていく。
地主階級はタイヤのゴムチュウブを手に入れてつめた空気を吸って助かろうとする。
小作人たちは洗面器に顔を突っ込んで少しでも長く息が続くように練習をする。
けれど、5分間はとても無理だと分かり、その日はふだんでは絶対に食べることができない白米を炊いてお頭つき(丸干しイワシだが・・・)を食べて覚悟を決める。
実はこの物語が映画化されたのだ。
1954年(昭和29年)のことで、この映画を見た記憶があるのだ。
中学1年生の時で劇場で見たか、巡回映画としてみたかは定かでないが、最後の場面がすごく印象的であった。
結局、空気のなくなるという5分間は何事もなく過ぎて、間抜け面した地主一家がタイヤチューブを浮き輪のようにして抱えている映像で終わる。
地主と小作という階級差をはっきりと際立たせて笑いに結び付けている。
地主たちだけ助かろうとしている浅ましい姿が子ども心に強烈に刷り込まれた。
作品を読んだのは教師になってからだが、誰かが授業で取り上げていた。
しかし、あまりにその主義主張がはっきりしていすぎて見ていて不愉快だった。

ところで、実際に100年前のハレー彗星だが曽祖父重範の明治43年の日記に彗星を見たことが出ている。
5月17日(火) 快晴 本日は快晴なり(払暁午前3時)彗星を見たり。
5月25日(水) 晴天 夜に入りて西天に彗星明るく見えたり。
甲州の南、身延山の近くの村では二度ハレーを確認したようだ。
けれど天変地異のような風評については何もふれていない。
曽祖父にとって気がかりなのは、郵便局を長期欠勤している伴久という人のこと。
自分の連れ合いの甥に当たる人なのだがかなりのグウタラらしい。
簡単な記述の中にイライラが読み取れるのだ。

連日、欠勤と書いている

yodaさんの投稿 - 17:18:13 - カテゴリー: 依田先生の徒然日記
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