"八ヶ岳南麓だより・麦秋"

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八ヶ岳南麓だより・麦秋

生産調整





この時期の八ヶ岳南麓の風景はなんといっても残雪を残した南アルプス連峰の山並み。
特に甲斐駒ケ岳の山容はどこから見ても雄々しく山の団十郎の異名もうなずける。
また、土地の人達は残雪の描く情景によって農時を決めたという。
今から27年前にこの地に山の家を建てた頃には周りの田圃に水が張られ、下の方から順次田植えが始まっていた。
そして夜になると蛙の鳴き交わす声に夏の訪れが近いことを知らせてくれた。
けれど、近年は米の生産調整のために田圃は畑となり、年年(としどし)によって植えられるものが変わり、知っているだけでも高菜、蓼、ソバなどなど。
けれど農業の担い手が高齢化し跡継ぎもいなくなって放棄地も目立つようになった。
素人考えだが、水は八ヶ岳の三分一湧水から枯れることなく供給されるので良い米が作れるはずなのにもったいないように思う。
しかし、いったん放棄された田圃は粘土が固まってしまい、水田として再生させるには大変だと聞いた事がある。
また、田んぼを畑に切り替えて野菜などを作っても最近は鹿、猪の害に悩まされ、特に猪は作物の熟れ頃を知っていて夜陰には一家でやってきて作物を食べつくしていく。
特に八ヶ岳高原のトウモロコシとしてブランド化したモノの被害が大きく、作付をあきらめている農家もあるようだ。
畑の周りに害獣よけの柵を張りめぐらして電流を流したりしている所もあるようだが、その設備の費用がバカにならないとあきらめてしまう人もいると聞く。

先月こちらに来た時に毎年お世話になっている野菜売り場の小母さんの事が気になって畑まで行ったところ、健在だった。
御年92歳で矍鑠としていてトマトの苗を植え付けていて「今年もよろしくね」と言われた。
けれど、昨年は猪にトウモロコシの収穫の半分ほど持って行かれたので作付を半分ぐらいにすると言っていた。
そして。トウモロコシの畑だけは柵を作るので儲けにはならないとぼやいていた。
それでも、毎日畑に出て作った物をお客さんに売って、喜んでもらえて、儲けなんかなくてもそれで長生きできるのだから儲けものだよ…と笑いながら言っていた。

今年は田んぼだった所に植えられている作物がなぜか麦だった。
ちょうど黄金色に色づき始めて吹き渡る高原の風に穂が揺れて波打っていた。
時はまさに麦秋・・・昔は麦刈りの後に田を耕し直して水を張り田圃となっていたのだろうナァ。

yodaさんの投稿 - 17:52:03 - カテゴリー: 依田先生の徒然日記
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