"お好み回り舞台・文楽"

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お好み回り舞台・文楽

修業






話が前後するが、国宝展を見終って次なる予定の中華まで1時間半ほどあったので、博物館の近くのホテルのラウンジでお茶をした。

するとちょうど6時半頃、近くに座っていた人達が動き始めてロビーに集まり始めた。
何事が起ったのかと物見高いワタクシも行ってみるとそこには簡単な舞台のようなものがしつらえてあってちょうど踊りが始まるところであった。
既に人垣が出来ていて前に進むことなどできず、ほとんどが外国人で私の背丈では遠見で顔しか見えなかった。
踊っているのはどうやら舞妓さんのようで、まだあどけなさの残っているような少女が真剣な表情で舞っていた。
タカコサンとFさんはあまり興味がないらしく動こうともしなかったが、舞妓さんの話題を振るとFさんが京都在住50年で旅館の女将の経験を話してくれた。
まずは、舞妓さんのほとんどが今は地方から出てきた人達である事。
それが厳しい修業を経て一人前の芸妓に仕込まれるのだが、彼女達の接客術はプロ中のプロで媚びない、阿らないそして客を飽きさせない。
どんなに親しい間柄でもきちんしたわきまえがあって公平に接するのだそうだ。
私は甲府の家の近くに花柳界があってその様子を垣間見ていて偏見のようなものを持っていたが一人前の芸妓は女性としてどこに出ても遜色のないようにしつけられているとの事。
それに、人の名前は決して忘れず。人を見抜く力も備えているのだそうだ。
京都の花街にも格式があって祇園甲部が一番なのだそうだ。
77年生きてきて芸子さんの接待を受けるような宴席に出たことなど一度もないが・・・マァこんな野暮天は死ぬまで縁がないだろうと思った。

そして次の日、大阪に行き国立文楽劇場で人形浄瑠璃の鑑賞だった。
ここは文楽を演じるために作られた劇場でタカコサンは前から一度は訪れてみたいと言っていて今回その夢がかなったのである。(東京公演は国立劇場の小ホール)
私も東京では何度か文楽は見ているが、実はその面白さに徐々に嵌りつつあったので今回の本場の劇場での公演は楽しみであった。
京都から電車で大阪まで行き、それから環状線に乗り鶴橋で降りて地下鉄に乗り換えてホテルを出てから1時間ほどで劇場にたどり着いた。
入場まで30分程時間があったので劇場に付設の展示場のような所を見学した。
文楽に関するいろいろな資料が展示されていてそれを解説してくれる人が居るのだ。
一番興味を持ったのは人形のカラクリとその扱い方である。
主役級の人形は三人の人によって動かされる。
主遣いと言って頭と右手を動かす、そして左手だけを動かす左遣い、足だけを動かす足遣い。
その三人が呼吸をピッタリと合わせて演じるのだが、主遣いは正装していて他の二人はいわゆる黒子である。
顏は一切晒すことなくひたすら主遣いの動きに合わせていくのだそうだ。
そして、説明のお姉さんの言によると、足遣いの修業だけでも十年はかかるというのだ。
まさに黒子に徹して修業を続けるという訳である。
舞妓さんと言い、黒子と言い一人前になるための修業は想像を絶するようである。

これらの世界はまずは基本は好きでなければ全うできないのだと感じ入った。





yodaさんの投稿 - 17:02:31 - カテゴリー: 依田先生の徒然日記
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