"お好み回り舞台・中村又五郎"

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お好み回り舞台・中村又五郎

親子3人





今回の観劇で気になったのは中村又五郎である。
「隅田春妓女容性」では小悪党の「土手のどび六」を演じていたが、最初は乞食姿で後に薄汚れた侍になる。
実は元は侍で今回の話のお家の宝物を盗み出した悪党なのだ。
けれど大悪党ではなく薄汚れた小悪党で終始する・・・・今回の芝居はそうとは知らず主人公の由兵衛が妻の弟を殺してしまうというある意味では陰惨な芝居なのだ。
けれど、このような人物が出てくることによっておかしみがでて、ある意味での救いとなり、芝居を盛り立てている。
もう一人、延紙長五郎という相撲取りが出てきて、これまた三枚目の役どころだが、演じるは中村歌昇で、又五郎の長男である。
もともとは若手のホープでスーツの良く似合うダンディな役者だがこのようなコミカルな役も出来るとはと感心することしきりだった。
そして、歌昇の弟の種之助も出ていて芸者小糸を演じている
実に親子三人が同じ芝居の脇を固めているというわけである。

私は又五郎というと、先代の二代目又五郎を思い出す。
小柄で飄々としていて吉右衛門の芝居にはなくてはならない存在で現吉右衛門の後見のような役割をしていたのではないか・・・
彼は池波正太郎に愛されて、藤田まことが演じていた「剣客商売」の秋山小兵衛のモデルになったと言われている。
あのドラマの中で藤田が演じる前に一時期、又五郎が小兵衛を演じたこともあった。
晩年は名脇役として人間国宝になった。
池波と言えば藤枝梅安のシリーズで又五郎が闇の殺しの元締めを演じていた時期もあった。

もう一つ池波の人気シリーズの「鬼平」の長谷川平蔵役は吉右衛門であった。
今シリーズでは平蔵を吉右衛門の父である松本白鴎が演じ、萬屋錦之介、丹波哲郎も演じたが断然中村吉右衛門である・・・私の吉衛門好きは鬼平とイコールである。
そして、また現又五郎であるが、彼はシリーズの中で配下の同心として脇を固めている。
私は現三代目又五郎については、歌舞伎の役者としてよりも中村光輝という名前で子役としてテレビなどに出ていたことを良く覚えている。
光輝がいつの間にか歌昇を名乗り鬼平にでるようになり、それから私がリタイヤしてから歌舞伎を観るようになって名わき役として吉右衛門を支えている事を知ったのだ。

三代目又五郎は踊りの名手とも言われているのだそうだ。
今回の演目の三番三では息子の歌昇と種之助が踊っていた父の血筋を引いていることは間違いないようである。


yodaさんの投稿 - 16:20:16 - カテゴリー: 依田先生の徒然日記
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