"遠近両用図書室・春さんのスケッチブック"

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遠近両用図書室・春さんのスケッチブック

読書感想文






「今年の春から遂に社会人です。歯科技工士として歯科診療所に勤める予定です。頑張ります。依田先生と出会ってから8年。成人の仲間入りです。」
今年の年賀状の中の一枚に添えてあった便りである。
差出人は第55回青少年読書感想文コンクールの小学校高学年の部で内閣総理大臣賞を受賞した山形県鶴岡市のYさんからである。
2008年、彼女は拙著「春さんのスケッチブック」を読んで感想文を書きその年の高学年の最高の賞を受賞したのだ。
「春さんのスケッチブック」はその年の読書感想文の課題図書に選ばれて、全国の沢山の子ども達に読まれた。
出版社によると、約8万冊余売れたそうであるが、学校図書館、公立図書館などにも入ったので読者数はその5倍ぐらいは居たのではないだろうか。
物語の舞台が長野県上田市にある戦没画学生慰霊美術館「無言館」を舞台にしていたことから、本を読んで戦没学生達の作品に会いに行ってくれた子ども達が沢山いたと聞く。

Yさんの感想文は「伝えられたメッセージ −人間は運鈍根―」という題であった。
その感想文の中に
「私はこの本の中に、暖かく穏やかな春のイメージと希望の光を見出していた。私は作者の前向きなメッセージを感じるのだ。作者は戦争という重い事実を突き付けながら私たちに何を伝えようとしているのだろうか。その答えは最後にあった。私たちは『大きな運命に逆らうことは出来なかったけれど与えられチャンスを精一杯生きた人たち』の意志を受け継いで前向きに一日一日を大切に生きなければならないのだ。」
この感想文は2009年2月に行われた感想文コンクール表彰式で児童・生徒の代表作品としてYさんが朗読した。
この年には皇太子殿下が表彰式に臨席されてその前で朗読したのだ。
私はYさんに答える形で著者の代表で挨拶をさせてもらったのだが、正直な所この感想文は私の作品を超えてしまっているのではないかと思った。
そこで、そのようなことを笑いを交えて述べたところ、会場からも反応があり、皇太子殿下も微笑んでおられた。

昨日は「出販記念会」の晴れがましかった事を書いたが、この表彰式もYさんのおかげで晴れがましい事になったのだ。
もう二度とこのようなことは起こりえないだろうが、よい思い出となっている。
実は小学生の時に最高の誉れを受けてしまうと、後が大変なのだ。
長い経験からそのような事例をたくさん知っている。
Yさんも中学に行って、周囲の過度の期待もあってプレッシャーがあったと聞く。
それでも毎年賀状のやり取りをしながら息災を確かめ合っていた。

今回の賀状で成人式を迎え4月から社会人としての第一歩を踏み出すと知って本当にうれしく思った。

yodaさんの投稿 - 16:10:47 - カテゴリー: 依田先生の徒然日記
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