"季節だより風だより・時雨の日"

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季節だより風だより・時雨の日

落葉しぐれ







昨日までと打って変わって、朝から寒く絹糸のような雨が降っている。
このように、小春のような好日の続いた後に降る雨のことを「液雨」または「薬雨」というのだそうだ。
虫たちはこの時期の雨を飲んでいよいよ巣穴籠りするので付いた名だそうだが、今日の寒さから言うと、「時雨」の方がしっくりとする。
それにしても私たちの民族は雨や風に対して実に細やかに繊細な名前を付けている。
この時期、晩秋から初冬に降る雨は「時雨」だが、この時雨にもさらにいろいろな名前が付けられているのだ。

まずは「朝時雨」、晩秋から初冬の朝、わずかずつ降ったり降らなかったりする雨。
「片時雨」、一方には日がさしているのに、片方には時雨が降っている空模様。
「北時雨」などと言うのもある・・・北風に乗って降る時雨、または北の方から降ってくる時雨。
似たような名前でこちらの方が有名だが「北山時雨」、京都の北山の方から降ってくる時雨を言い、京都の風物詩となっている。
チョッとロマンチックな響きがある「小夜時雨」(さよしぐれ)夜降る時雨。
「初時雨」、文字通りその年初めての時雨で、いよいよ冬の到来を思わせる。
母校の先輩、飯田蛇笏の句に、「山中の巌うるほひて初しぐれ」
「村時雨」ひとしきり激しく降って、さっと通り過ぎていく時雨。
今の時期にピッタリの「山茶花時雨」、花の少ないこの時期の紅い花、山茶花に降りかかる時雨。
「さんさ時雨」、「さんさ時雨か、菅野の雨か、音もせできて、濡れかかる」宮城県の民謡で伊達正宗が会津の蘆名氏を破った時に造られた戦勝歌で、それが祝い唄として歌い継がれているのだそうだが、戦勝歌にしては哀調を帯びている。

私にとって「時雨」と言うと、まず浮かぶのは徳富蘆花の「自然と人生」の一節で
「今日は時雨の日なり、はらはらと振りいずるかと思えばやみ、やみしと思えばまた想いでたるように降りいず」
中学の時の教科書に載っていた文章でこれを暗記させられたが、60余年も過ぎた今もスラスラと口をついて出てくる。
もう一つ「落葉しぐれ」、時雨の一つにこのような名前が付けられたものがあるかどうか分からないが、これは歌謡曲である。
「旅の落ち葉がしぐれに濡れて、流れ果てないギター弾き、望みも夢もはかなく消えて歌も涙の渡り鳥」
歌うは三浦洸一と言う人で昭和30年代から40年代にかけて活躍した人だ。
彼が歌った代表的な唄としては「踊り子」(伊豆の踊子を歌った唄)「東京の人」「弁天小僧」などがあるが、今年で90歳で存命。
私はこれらの歌は歌詞を全て覚えていて歌うことが出来る。
三浦半島にあるお寺の息子で三浦を芸名にしたそうだが,端正で折り目正しい歌い方で好きな歌手であった。
今もこの時雨の時期になると必ず口ずさむ歌である。

それにしても若い時に覚えた事はよくおぼえているなぁ・・・小説や歌の歌詞などではなく英語の単語でももっと覚えていれば違う人生が開けていたかもしれないと思う時がある。
yodaさんの投稿 - 16:21:03 - カテゴリー: 依田先生の徒然日記
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