"甲州食い物噺・蟹三昧"

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甲州食い物噺・蟹三昧

恨みつらみ








海産物の中で好きなものをあげるとすると、トップは蟹である。
実は蟹については子どもの頃の憧れと言うか、恨みつらみもあるのだ。
その原因は父にある・・・父は新潟医科大学を卒業して大学病院に勤め、新婚生活も新潟であった。そして、姉二人と私は新潟で生まれたのだ。
太平洋戦争が始まって父は軍医として応召されて、私たち家族は両親の郷里である山梨に帰ってきて戦中戦後、幼少期を山梨で過ごした。
父も山梨の片田舎で育ったので食については山国の食べ物であったはずなのだが、新潟で母と家庭をもって過ごしたので、日本海の海産物に魅了され、その後の人生の中では美味しいモノは全て新潟にあり・・・食の基準が甲斐から越後へと、とって替わったようだ。
そしてその中でも日本海で取れるズワイガニが好物のベストだった。

父は戦争から帰り、甲府で開業するようになってから、冬になると魚屋に頼んでズワイガニを取り寄せてもらっていた。
けれど、絶対に子ども達には食べさせてくれなかった。(7歳違いの弟は別だったが・・・)「食べたければ自分で稼ぐようになって食え」というのが口癖で信条だったようだ。
父の食卓は別仕立てで、いつも弟を膝に抱いて蟹の身を美味しそうにほぐして食べていた。
「ぁああ、食べたい」と思って、意地汚くも、ほとんど身の入っていない足先の所をこっそりと台所に行ってあさって食べたモノである。
そして、「自分で稼ぐようになったらまず初給料で蟹を腹いっぱい食べてやる」とおもった。
実際には初給料でなく、初ボーナスでその夢は実現した。

昨日、シアトルに住む娘よりカナダ産のズワイ蟹がひと箱送られてきた。
蟹を送ってくるのは毎年の恒例でちょうど私とタカコサンの誕生日の中間に送ってくれる。
彼女は私の蟹好きを知っているのは勿論だが、日本の海産物を扱う商社のシアトル支店の支店長をしている。
アメリカ西海岸、カナダ、アラスカなどの蟹、鮭、カズノコなどの仕入れも担当していて、毎年、海の男たちとやりあってコンテ単位の取引を決めている。
今回送られてきた蟹は娘がカナダで買い付けたものを日本に送り、その中でも最上級の品を商社を通して送ってきてくれたのだ。
蟹は冷凍されて送られてきたのだがまずは箱から取り出して足、ハサミなどに分けて包み直し、冷凍庫に保存した。
これから正月にかけて蟹三昧の日々が続く・・・まずは解凍したモノをポン酢で食べた。
そして、アボガドと茹で卵と合わせて「蟹のアボガドサラダ」にした。
これは行き付けのレストランのメニューの一つなのだがマヨネーズで和える。
今日の昼は蟹の雑炊にして、今夜は芙蓉蟹にする。
芙蓉蟹はクックパットを参考にして作るつもりであるが楽しみである。
明日はお昼に蟹チャーハンをするつもりである。

子どもの頃の食い物の恨みをここで晴らしてやるぜ・・・・



yodaさんの投稿 - 17:20:59 - カテゴリー: 依田先生の徒然日記
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