"八ヶ岳南麓だより・コレクション"

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八ヶ岳南麓だより・コレクション

版画







本と焼物のほかに整理をしなければならないものがある。
それは長年かかって集めた版画である。
私の場合はいわゆる江戸時代の浮世絵のようなものではなく現代版画。
その種類は木版画、銅版画、木口版画などで、はっきり数えたことはないが小品も入れると200点近くあるのではないだろうか。

木版画は版木を彫刻刀でほっていくやり方で伝統的な技法である。
銅版画は技法に2種類あって銅版に直接刃物で彫るモノと、銅版に蝋質被膜面を作りその上から鉄筆で描いて露呈した銅の部分を硝酸液で腐食させる。
前者はドライポイントやメゾチントと言い、後者をエッチングという。
私の集めていたのは主にエッチングである。
木口版画(こぐちはんが)は木の硬質な木口版を版木としてシヨウシテ、ビユランという道具を用いて彫り、その特徴としては精密で繊細な表現ができる。

版画のコレクションをすることになったきっかけは今から40年ほど前に勤めていた町田市の学校の同僚の夫君が銅版画作家でその個展に行ったことによる。
坂東壮一さんで、その作品は幻想的ですっかり魅了されて彼の作品を中心に集め始めた。
主に作品を求めたのは銀座の旧松坂屋の近くにある版画専門のシロタ画廊でその時から30年間ぐらいに渡って毎月一定の額を入金して気に入った作家の個展があると求めるようにした。
坂東さんは寡作なのであまり多くは持っていないが彼の友人で木口版画の柄澤齊さんの作品にも心惹かれ、個展の度に何点かずつ集めるようになった。
柄澤さんは現代の木口版画の世界では第一人者といわれ、その才能は多彩で本の装丁、連載小説の挿絵、自らも小説を書いたり自家で出版もしている。
実は私のコレクションの大半は柄澤作品で個展の折に二度ほどお会いしたこともあった。

ところで、今回の山行きでは山荘に置いてある柄澤作品をどうするか考えることもあった。
ともかく山荘のロフトに置いてあるものを整理してしかるべくその行方を考えなければならないととりあえずロフトからおろして居間に積みあげて置いた。
当初はそっくり故郷の身延町にある美術館に寄贈しようとしたが蔵書と同じようにリストを作りその資産的価値を添えて申し出るようにと言われて、気持ちが萎えた。
そこで、マーケットに出した場合はどのくらいの価値があるモノかと知り合いの画商に観てもらったところ、今は買った時の10分の1ほどだと言われた。

長年かけて集めたモノを二束三文で売る羽目になるなどごめんなので積んだ作品を前に思案投げ首、大きくため息をついた。   
                       この稿続く
yodaさんの投稿 - 17:14:13 - カテゴリー: 依田先生の徒然日記
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