"季節だより花だより・紫陽花"

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季節だより花だより・紫陽花

思い出







2日続きの梅雨の晴れ間で、庭の剪定も大方終わった。
炎天下を独りで黙々と剪定ハサミを使っている教え子のK君の姿に頭が下がる想いだった。
タカコサンの領域である茶室と茶庭にはそれなりのセオリーがあるらしく夏を迎えるにふさわしいしつらえとなったようだ。
私は特に庭に対する思い入れのようなものはなかったが、自分が家を持ったら、庭木の中に紫陽花が欲しいと思っていた。
私の子どもだった頃には紫陽花の花を見た記憶はないのだが・・・上京して初めて住んだ渋谷区笹塚の下宿屋の庭先にあった。
最初はその花の名も知らなかったが、色が微妙に変化していく様や、雨に打たれてこそ生き生きとしている姿に心惹かれた。
この笹塚の下宿は浪人3年目でそれまでは宅浪であったが、親の監視から離れての生活であったのだ。
けれど、もう後がない崖っぷちに追い込まれていて遣る瀬無い1年でもあった。

小さな花が寄り集まってひと固まりとなって咲いているが決して派手ではない。
雨空の陰鬱なグレーと花の色のブルーがなんともメランコリーな気分にピッタリだった。
アジサイは古くはアヅサイと言いアヅは集まるを意味し、特に小さい物が集まる事を表す語だそうだ。
サイは「真藍(さあい)」の約で藍を表し、小さい花が集まって咲く事から名付けられたという。
紫の陽の花という漢字表記も良く花の雰囲気を表している。
ところが中国では紫陽花という花は別な花だそうである。
「和名類聚抄」を編纂した源順(ミナモトシタゴウ)が勘違いしたとされているがどうやら知っていたけれどわざとこの名を選んだとも言われている。
今更変更もないわけでむしろピッタリの表記だと思う。

ところで我が家の紫陽花だが、何度か植えたのだけれど中々根付かず、今は数年前にご近所で株わけしてもらったガクアジサイがひっそりと咲いている。
これ見よがしの主張をせずに日陰の花の風情である。
寄り集まる花というよりも一つ一つの花に主張があるようだ。
そう言えば、笹塚の下宿の紫陽花もガクアジサイだったかもしれない。

明日は天気は崩れるそうだが、雨に打たれる花を見ながら往時を思い出そうか・・・




yodaさんの投稿 - 19:18:12 - カテゴリー: 依田先生の徒然日記
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