"入院読書・遠野物語・ホトトギス"

07 / 09

入院読書・遠野物語・ホトトギス

包丁欠けた







ちょうどお昼を食べ終わった頃にけたたましい鳥の鳴き声を聞いた。
キョキョキョキョ・・・ホトトギスである。
時期としてはすでに托卵が終わっているはずなのに出遅れた奴が空いているウグイスの巣でも探しているのだろうか。
関東地方辺りではこの鳴き声が「東京特許許可局」と聞こえると言うのだが、確かにキョキョキョがそのように聞こえなくもない。
ところで昨日の話の続きとしてこのホトトギスの啼き声の由来について「遠野物語」の53話に載っている。
遠野地方では「包丁欠けた」と聞こえるのだそうだ。

昔、カッコウとホトトギスの姉妹がいて、姉のカッコウがある時芋を掘ってきて焼いてその周りの固いところを自分が食べて、中の柔らかいところは妹に与えた。
妹は姉の食べている分はもっと美味しいのではないかと思い、包丁で姉を殺してしまう。
すると姉がたちまち鳥となってガンコガンコと啼いて飛び去ってしまう。
ガンコとはこの地方の言葉で固いと言う意味だ。
妹はさては姉は良いところだけを自分に与えてくれたのだと思い後悔する。
やがてまた妹も鳥になって「包丁かけた」と啼いた・・・

話はこれだけであるが、何とも哀れ・・・人間の持っている妬みや嫉みのようなモノを表しているようにも思えるが教訓めいたことは一切ない。
なにかこのような感情は誰しも抱くような事でホトトギスとカッコウに仮託して人間を語っているように思える。
実は遠野物語の世界は100年前に語られていた怪異譚と、昨日は書いたけれど今、私達が生きている世界の日常と地続きである事を感じる。

久しぶりに囲われた場所から日常に戻って耳目にする事はある意味では怪奇に満ちている。
痛ましい事件の連続・・・入院前には高級官僚の父が息子を殺害した。
粗暴な輩が官憲の追及から逃げて何日も近隣住民を恐怖に陥れた。
そして、退院した2・3日の間には中学2年の生徒が同級生を刺殺した・・・そこには何か深い怨念のようなモノがあるらしい。
そして、40代の父が娘を殺して自分は自栽した・・・まだその動機のようなものは解明されていない。

ある意味では遠野物語の世界よりも怪異である。

yodaさんの投稿 - 16:21:07 - カテゴリー: 依田先生の徒然日記
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