"八ヶ岳南麓だより・名碗"

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八ヶ岳南麓だより・名碗

銘名







お茶の茶碗で名碗と呼ばれるモノには必ず名前がついている。
それも「不二山」「障子」など見立てによって付けられているモノが多いが、今回の出品の中で異色の茶碗があった。
実はタカコサンはこの茶碗が見たいために上諏訪まで出かけていったのだ。
「雁取」(がんどり)と銘名された茶碗である。
作者は楽家初代の長次郎で16世紀に作られた名碗である。
大きさは高さが7.6〜7.9cmで口径は10.5〜11.2cmこれも掌に収まり具合のよさそうな茶碗である。
この茶碗は千利休が長次郎に命じて造らせた茶碗で、弟子の芝山監物に与えた茶碗でそのお礼に監物から「雁」をもらったのだそうだ。
そこで利休は茶碗が雁を取ったという狂歌を読み監物に返礼の手紙を書いた。

 思きや大鷹よりも上なれや やきちゃ碗めが雁とならんとは

今回の展示ではこの利休の書いた手紙も表装されていて展示されていた。
そして、この茶碗が何人もの人の手を経て明治時代には時の元勲の一人である井上馨のものとなる。
その持ち主の変転のたびごとに箱書きがされて何とその箱も一緒に展示されている。
合計で7個の箱があり最後に井上が造らせた箱は鎧櫃のような厳重なものであった。
これも今回の展示の見所一つであった。

こほかにも名碗と呼ばれるものが幾つも展示されていて、茶道の初期に使われた唐物と呼ばれるものから高麗茶碗、和物茶碗へと茶碗の変遷を見ることも出来た。
私としては一番興味を惹かれたのは雨漏茶碗と呼ばれる16〜17世紀の朝鮮王朝時代の茶碗で見た目は薄汚い。
釉に生じた気泡やひび割れなどから水分が入って長い間に染みになったものを雨漏りとみたてている。
もし、この茶碗を手にしたら猫の飯食い茶碗にしてしまうかもしれない。
しかし、江戸時代の茶人たちはそこに侘びさびを見出したのだろうか、小堀遠州の箱書きがしたためられていて、「鈴鹿山」と銘名されている。
銘名の由来は「金葉集」の歌からだそうだが、私の理解の域を超えている。

サンリツ美術館の別室には茶道具の展示のほかに近現代絵画のコレクションの展示室があって、今回のテーマは「色彩を観る」であった。
知っている名ではルドン、ドンゲ、ビュフェなどがあった。
日本の画家では香月泰男、熊谷守一などめったに見る事が出来ない作家の作品を見ることが出来て満足、満足。



yodaさんの投稿 - 17:39:14 - カテゴリー: 依田先生の徒然日記
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