"季節だより花だより・葉鶏頭"

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季節だより花だより・葉鶏頭

カラスの赤ちゃん








私の中学の時の国語の先生は伊東武雄先生と言い3年間担任でもあった。
先生からは多くのものを戴いた。
私が教師となり、物書きの端くれのような仕事をしたのは先生のおかげだ。
また、文学というものに目覚めるきっかけを作ってくれたのも先生だ。
中学生として読んでおくべき本を薦めてくれたり、詩歌に関しては暗唱させた。
それが今、65年も経っているのに生きているのだ。
藤村の「千曲川旅情の歌」「初恋」など今でも諳んじていて詠える。
和歌、俳句、漢詩なども覚えさせられて今も生きている。
名文と言われる一節も暗唱させられたが、徳富蘆花の「自然と人生」などいつも時雨の季節になると思い出す。

そんな大恩ある先生なのに15歳の少年たちは随分と無礼なことをしたものだ。
前項の「鶏頭」の続きである。
先生は当時30代半ばで兵隊から帰ってきて10年は経っていなかったと思う。
気鋭の青年将校がそのまま熱血教師となり子どもたちを鍛えようとした。
鉄拳制裁も厭わなかった・・・私などは何度殴られたことか・・・
面とむかって反抗などできるわけもなく鬱憤のようなものが溜まっていった。
さて、そこで「鶏頭」である。
悪童の一人が鶏頭の種類の中に「葉鶏頭」があることを調べてきた。
当時先生は30代半ばにしてはだいぶ頭部の方が薄くなってきていた。
と、少年たちは「葉鶏頭」に飛びついたのだ・・・「ハゲイトウ」である。
あることか「ハゲイトウ」の主題歌まで出来上がってしまった。
「カラスの赤ちゃん」という童謡を替え歌にしたのだ。
 もとは「カラスの赤ちゃんなぜ泣くの コケコッコのおばさんの 赤いお帽子ほしいの
黄色いお靴もほしいの とカアカア泣くのよ」それを・・・

  イトウのオッチャンなぜ泣くの コケッコのおばさんの 赤いお帽子ほしいのと
  カアカア泣くのよ・・・

なんとも無礼な歌だが、先生に叱られた後などにはその鬱憤を晴らすために密かに高らかに歌ったものだ。
歌の作者のN君は5年ほど前に旅立っていったが、あちらで先生と会ってつぶやくように歌っているかもしれない。

 
yodaさんの投稿 - 10:07:51 - カテゴリー: 依田先生の徒然日記
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