"透析日記・ベッド移動"

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透析日記・ベッド移動

別れ







水曜日の透析の帰り際に看護師から
「今いるベッドから移ってもらいます。」と言われた。
そして昨日クリニックに行ってみると私だけでなく大幅な入れ替えがあった。
ちょうど一年間慣れ親しんだベッドから移るのは残念な気もした。
けれど、もっと残念なのは隣のベッドで、唯一クリニックで会話を交わすNさんが遠く離れたところに行ってしまったことだ。
クリニックではほとんど患者同士の交流や会話はない。
挨拶をしても返ってくることは稀である。
それぞれが日日病と闘いながら生きているので他人のことなど構っていられないのかもしれない。
けれど、一日おきにほぼ5時間近く同じ空間にいるのだから挨拶ぐらいはしてもよいのではないかと思う。
そんな中でNさんは私が不安そうにしていた時に声をかけてくれたのだ。
八王子の子安神社の近くに住んでいて私と同じ東海大八王子病院の紹介でこのクリニックに来たこと。
病院で罹っていた先生が同じだったことなどを話した。
また、息子さんがいて小学4年生であることなども話してくれた。
クリニックにタブレットを持っていくようになったのもNさんのおかげだ。
クリニック内のWi-Fiを設定してくれたのもNさん。
タブレットを固定する便利グッズも教えてくれた。
私は何のお返しもできないので4年生の息子さんのために拙著をあげた。
「読書感想文の書き方」「トンデモ探偵団」2巻と3巻。
1巻はなぜか1冊しか我が家にないので・・・するとすぐにネットで買ったそうだ。
どうやらトンデモ探偵団にハマってくれたらしく感想の手紙をもらった。

おそらく、もう、Nさんとの触れ合いはないと思う。
どうやら透析を受ける時間も微妙にずれた様で、患者同士が親しく話し合うような機会はないのだ。
看護師に今回のベッドの入れ替えについて聞いてみた。
「空きベッドが出たので詰めてもらって新しい患者さんが入ることになったんです。」
と、こともなげに言った。
空きベッドが出たということは・・・この1年間の間にいつの間にか居なくなった人が何人もいた。
別のクリニックに移ったのかそれともあちらの世界に旅立っていったか・・・
患者の消息についてはもちろんクリニックのスタッフは口を閉ざしている。

命終えるまでにベッドの移動は何回もあるのだろうなぁ・・・

yodaさんの投稿 - 17:14:07 - カテゴリー: 依田先生の徒然日記
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