"遊悠読書・アンと愛情(坂木司・光文社)"

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遊悠読書・アンと愛情(坂木司・光文社)

和菓子読書








今年の正月は訪れる人もなく有り余る時間を読書に費やした。
新年であるからなるべく人が殺されるようなミステリーは避けてほのぼのとするような作品を選んだ。
そこで昨年10月に上梓された「アンと愛情」を選んだ。
この作品はシリーズ化されていて「和菓子のアン」「アンと青春」が出版されている。
この2冊は文庫されているのでリーズナブルな値段で入手できるが、今回の「アンと愛情」はハードカバーで倍以上の値段がするのでちょっと買うのをためらった。
文庫化されるのには2年ぐらいかかりそうなのでその間に自分がどうなってしまうか分からないのでここは思い切って買い求めた。

そもそもこの作家を知ったのはクリーニング屋を舞台にした作品「切れない糸」(創元社文庫)を読んでからだ。
切った張ったがなくてそれでいて本格的なミステリーとして仕上がっていて感心した。
以来この作家の新刊が文庫で出ると読むようにしている。
ところで表題作であるがかの有名な「赤毛のアン」を思わせる。
確かアンのシリーズの中にもそのような作品があったように思うが・・・アンはあんでもデパートの和菓子コーナーにアルバイトで勤める杏子が主人公である。
すでに上梓されている「和菓子のアン」と「アンと青春」を読んでから本作を読むと味わいが深いが・・・今回の「アンと愛情」だけでも十分楽しめる。

舞台は東京都心のターミナル駅にあるデパートの老舗の和菓子売り場である。
主人公は和菓子大好きでぽっちゃり型の少々のんびりしたアルバイト店員のアンちゃん。
脇を固めるのは和菓子のうんちくと販売のベテランの椿店長。
そして本店から来て男店員であるがちょっと乙女系の立花さん
もう一人同じくアルバイトの桜井さん
この4人が織りなす四季の和菓子の販売がともかく和菓子好きの私にとってはたまらない。
和菓子の蘊蓄をめぐっての客とのやり取りもおもしろい。
デーパートの店員としての心得のようなものもなるほどと思わされる。
また閉店後の食品売り場の様子や衛星管理なども新しく知ることばかりだった。

この物語の魅力は和菓子という特殊な世界を描きながら、4人の個性が書き分けられ、一つのファミリーの結束がほのぼのと描かれていることである。
今の季節の和菓子「花びら餅」の蘊蓄も描かれている。
初春一番のお薦めである。






yodaさんの投稿 - 11:42:33 - カテゴリー: 依田先生の徒然日記
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